SHIEN学とは2
心の豆知識管理とSHIEN
舘岡教授は、著書『利他性の経済学』SHIENと管理について以下の表にまとめておられます。
以下では管理とSHIENの違いを陸上競技のリレーを例に違いについて考えてみます。
管理について
管理の考え方の下では、自分がどうしたいか、という行動パターンになります。
バトンを持っている人は、トップスピードでバトンを渡したいと思うので、次走者にはバトンを渡す瞬間にトップスピードであることを求めます。 しかし、バトンを受取る人は前走者のその気持ちを知りません。
なぜなら、バトンを受取る人は、後ろ向きでバトンを受取るので、バトンを落とすことに不安を覚え、スピードよりも丁寧なバトンパスをして欲しいと思っているからです。
もちろんこの状態でも上手くいくことはあります。 上手くいかなかったとき、両者の関係性が悪くなってしまうこともあります。
それは、ミスにより自分の意図を相手が理解していないことに気づきフラストレーションが生じ、関係性が悪くなってしまうのです。
SHIENについて
それではSHIENの考え方ではどうでしょうか?SHIENの考え方の下では、皆がどうしたいか、という行動パターンになります。
バトンを持っている人は、次走者がバトンを落としたくないという不安を抱いていることを知っていますので、バトンを渡すときには細心の注意を払うでしょう。
一方、バトンを受取る人は、前走者がトップスピードでバトンを渡したいということを知っていますので、スピードを上げた状態でバトンを受取ろうとするでしょう。
SHIENでは、相手の意図を知ることで、それぞれがその実現のためにどうすればいいかということを考えていきます。
そして、その背景には、1着でゴールをするという共通目標があります。
もしこれがなければ、馴れ合いの関係に陥ってしまうことがありますので、注意が必要です。
避けたい二項対立
SHIEN学とは1では「支援」と「SHIEN」、そしてこちらでは、「管理」と「SHIEN」を比較したわけですが、 避けたいのは、どちらかが善でどちらかが悪という二項対立で捉えてしまうことです。
それぞれは場面に応じて上手に使い分けていくことが、重要であると考えます。
例えば、会計の学習を考えてみますと、財務諸表や日常の仕訳のルールなどのような入門段階では「管理」的な一方向的でも良いと考えています。
しかし、入門段階を過ぎていきますと、「SHIEN」的な双方向性からの気づきを重視する学習が良いと考えています。
このように、「管理」と「SHIEN」は時と場合に応じて使い分けるのが良いと考えています。
参考文献
舘岡康雄『利他性の経済学』新曜社 2006年4月
舘岡康雄『世界を変えるSHIEN学』フィルムアート社 2012年11月