コラム

お金の歳時記 2019年11月-紀州山の日と分離課税-

お金の豆知識

11月7日は「紀州山の日」だそうです。
 この記念日は、紀州の山村ではかつて、旧暦11月7日に山の神に感謝する祭が行われていたことから山林に対する理解を深め、人と山が共生する山村作りを啓発するための活動を行うため、和歌山県が1994(平成6)年に制定したそうです。

 現在の和歌山県はご存知の通り、江戸時代以前は、「紀伊国(きのくに)」と呼ばれていました。 7世紀に一地方の国として成立した際には、「木国(きのくに)」と表記されていました。由来として、雨が多く森林が生い茂っている様相から「木国」と命名された、という説があり、現在の風景とも重なる部分がありとてもイメージしやすい名前です。
 しかし、713(和銅6)年に、国名は縁起のいい2文字で表現するようにしたため、「紀伊国」と表記するようになりました。
 「紀伊○○駅」という駅名が多数あり、関西人にとってはとても馴染みのある言葉ですね。

 そんな紀州山の日にちなむお金の話ですが、山の木を売って得た所得は山林所得で所得税を計算します。
 所得税を計算する際には、該当する所得を全て合算の上で計算する、総合課税と、それぞれの所得個別で計算する分離課税があります。

 総合課税の対象となるのは、原則として利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、譲渡所得、一時所得、雑所得になります。
 一方、分離課税には、源泉分離課税と申告分離課税があり、源泉分離課税には、身近なものとして利子所得があります。
 また、申告分離課税には、山林所得、土地建物等の譲渡による譲渡所得、株式等の譲渡所得等、平成28年1月1日以後に支払を受けるべき特定公社債等の利子等に係る利子所得があります。
 山林による所得は申告分離課税になり、国税庁は下記のように決めています。

山林所得とは、山林を伐採して譲渡したり、立木のままで譲渡することによって生ずる所得をいいます。ただし、山林を取得してから5年以内に伐採又は譲渡した場合は、山林所得ではなく事業所得か雑所得になります。 また、山林を山ごと譲渡する場合の土地の部分は、譲渡所得になります。

 要するに、山の木を伐採して売ると山林所得になるんですね。山林所得に限らず分離課税になっているのは、1回の取引金額が大きいものになります。
 日本では超過累進課税制度になっており、所得が大きいほど税率が高くなっています。
 しかし、1回の取引だけで税率が一気に跳ね上がると納税者の負担が過大になり過ぎるかもしれないことを考慮し、他の所得と分けることで負担が大きくなり過ぎないようにしております。

 退職金を受け取った場合の退職所得を想像すると分かりやすいかもしれませんね。
 長年働いた成果としてまとまった退職金を受け取るわけですが、それを総合課税してしまうと、それまでの年は慎ましやかな納税だった方でも、退職した年に限りかなりの高額納税となり手取りが激減してしまいます。
 税金だけならまだしも、社会保険も所得に連動しますので、負担がかなり大きくなってしまいます。よって、退職所得も分離課税となり、また退職所得控除という勤務年数に応じた独自の控除を設けることで、税金の負担が大きくならないようにしています。

 退職所得や山林所得は人生において必ずしも出会うものではないですが、少し知っておくとお得になる場面もあるかもしれませんね。

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