コラム

お金の歳時記 2017年12月-クリスマスと贈与-

お金の豆知識

言わずと知れたクリスマスは、イエス・キリストの誕生を祝う日とされていますが、現代では宗教的な要素はほぼなく12月の風物詩の一つとなっております。
 朝日新聞の明治12年の12月4日付には、「25日は耶蘇(やそ)の大祭日なので信者を川口天主堂に集めて行事をする」という記事が掲載されており、クリスマスを報じた最も古い記事のようです。
 また、クリスマスにプレゼントを渡す習慣は、大正時代にはあったようで、クリスマスが日本に馴染んでからもう100年近く経つんですね。

 さて、お金の世界に目を移しますと、個人から財産をもらうことを贈与と呼び、ある個人から一定金額以上の財産を贈与されると贈与税が課せられます。  一方で、会社など法人から財産をもらったときは贈与税はかかりませんが、所得税がかかることになっています。
 また、自分が保険料を負担していない生命保険金を受け取った場合や、借金の返済等を免除された時も、贈与を受けたとみなされて贈与税がかかります場合があります。

 ただし、夫婦や親子、兄弟姉妹などの扶養義務者から生活費や教育費のために譲り受けた場合や、香典、花輪代、年末年始の贈答、祝物又は見舞いなどで、金額がそれほど大きくないものには贈与税はかからないとされています。

 贈与税は、1月1日から12月31日までの1年間にもらった財産の合計額から基礎控除額の110万円を引いた残りに対して課せられますので、1年間にもらった財産の合計額が110万円以下なら贈与税はかかりません。
 ただ、毎年110万円ずつを継続して贈与していくと税金が課せられる場合もありますので、まとまった金額を贈与する時は注意が必要です。

2017年11月-勤労感謝の日と年末調整-

 11月23日は勤労感謝の日です。勤労感謝の日は1948年に制定されました。  それ以前は、農作物の恵みに感謝する「新嘗祭」(にいなめさい・しんじょうさい)が宮中行事として行われていました。  勤労感謝の日の制定に当っては、GHQの意向や、元々の伝統として祝いたいなど様々な意見があったようです。
 しかし、産業の多様化が進んだ現代社会を考えると、大地からの収穫だけではなく、工場おける生産やサービスの提供も含めて感謝の意を表すことが大切と考えると、結果的に勤労感謝の日という形が良かったのではないかと思いました。

 そんな勤労感謝の日近くになりますと、会社勤めの方々が関係してくるのが年末調整です。  これを読んでいただいている頃には、それに必要な書類が保険会社などから送られてきたり、会社から書面をもらってきたりしているのではないでしょうか。  会社勤めをしておりますと、毎月のお給料から所得税が源泉徴収されることになっています。  ただその金額は、その月のお給料から仮の計算を行ったものですので、今年1年間を通じた所得に応じたものではありません。

 そこで、1年の最後12月に年末調整を行うことで各人の所得税を確定します。  年末調整を行えば確定申告をする必要はないのですが、2社以上でお勤めの方や医療費控除や雑損控除を受けたい場合など、確定申告する必要がある場合がありますので、この機会に専門家へご確認をしていただければと思います。

2017年10月-赤い羽根募金と寄付金控除-

 この時期になりますと駅や学校で募金を呼び掛けているのを目にします。赤い羽根募金は、各都道府県にある共同募金会が行っている募金で1947(昭和22)年から開始されています。
 当初集められた募金は戦禍で傷ついた社会福祉施設の復興等に役立てられたようですが、近年は地域のまちづくり支援や高齢者の日常生活の支援のための事業など幅広く活用されているようです。
 赤い羽根の由来ですが、赤い羽根共同募金のホームページによりますと、「ヨーロッパやアメリカで赤い羽根が「善い行い」や「勇気」の象徴とされてきた」とのことです。

 また、赤い羽根募金を行っている共同募金会に寄付をしますと、寄付金額から2,000円を引いた金額に対して税制上の優遇(所得控除もしくは税額控除)を受けることができます。

 この優遇を受けるには確定申告を行う必要があり、その際、共同募金会から発行される領収書を提出する必要があります。必ず寄付を行った際には領収書を取っておいてください。  駅前の募金では、領収書を発行されるとは考えにくいですから、まとまった金額を寄付される場合は、各都道府県の共同募金会に直接されると良いでしょう。
 他の控除で税額が0の方など必ずしも優遇を受けることが出来るとは限りませんので、お近くの税務署や税理士さんにご相談ください。

2017年9月-敬老の日と老後資金計画-

 9月の第3月曜日は敬老の日です。2002年までは9月15日で、変更されてからもう15年も経つんですね。  祝日になったのは、1966年だそうで祝日の中では新しい部類のようです。9月15日という日付については、「養老の滝伝説」説や「聖徳太子」説など諸説様々あるようです。
 お年寄りを敬う日と位置付けられている敬老の日ですが、合わせて考えたいのが老後資金計画です。  100歳の双子の「きんさん、ぎんさん」がお祝いでもらったお金の使い道を尋ねられて「老後のために貯金をします」と答えたのは有名な話です。

 雑誌の表紙には、「老後資金は1億円」との文字が躍っていることもありますが、生命保険文化センターの調査によりますと、  ゆとりある生活費と考えられる老後生活費の平均額が、1ヶ月約35万円という結果が出ております。65歳で退職し90歳まで25年を考えますと、1億500万円という金額になります。  しかし、果たしてこの計算で良いのでしょうか?  そもそも現在1ヶ月35万円も使っていないというご家庭も多いのではないでしょうか?

 1ヶ月25万円と考えるならば7,500万円と3,000万円も差が出てきます。  このように前提が大きく違うと結果が大きく異なりますので、まず前提をいくらで考えて行くか、ということが重要となります。  その前提の根拠となるのが、皆様ご自身の現在の支出となります。老後資金計画を立てるに当って現在の家計を一度精査されてみてはいかがでしょうか?

2017年8月-五山の送り火と相続-

 皆様はどのようなお盆をお過ごしになられましたか?  お盆の風物詩の一つに京都の五山の送り火があります。  送り火はお盆の翌日に行なわれる仏教の行事で、お盆の間にこの世に戻っていた精霊をあの世に送るもので室町時代以後に庶民の間に浸透したと言われています。
 様々な形態で行われる送り火の中に、松明の火を空に投げ上げて精霊を見送るというものがあり、それを山で松明に点火させたものが五山の送り火の始まりと言われています。
 そんな送り火やお墓参りなどでご先祖様を偲ぶご家庭も多いのではないでしょうか。
 またお盆休みで帰省し、親戚一同が集まる貴重な時間を過ごすご家庭もあるでしょう。

 このような家族が集まりやすい時期を利用して、家族の今後についてお話合いをするのも一つです。
 相続が起こった時に揉める原因の一つは、相続人同士のコミュニケーション不足が挙げられます。  みんな集まって楽しい時間に、なかなか話しづらい部分がありますが、そのような機会だからこそ話し合えることもあるのではないでしょうか。
 話し合った内容をエンディングノートなどの形でまとめておくと、いざという時に手続きがスムーズに運ぶことができるでしょう。

2017年7月-土用の丑とマーケティング-

 土用(どよう)は、立夏・立秋・立冬・立春の直前約18日間ずつとされています。 その期間の丑の日が土用の丑の日になりますが、近年では立秋前(夏)を「土用の丑」の日と呼んでいます。
 今年は、7月25日(火)、8月6日(日)が土用の丑だそうです。

 そんな土用の丑の日にウナギを食べ始めたのは、江戸時代の平賀源内が発案だそうですよ。
 ウナギの旬は冬のため、夏にウナギが売れなかったので、販売促進のために「土用の丑にウナギを食べよう」キャンペーンを行ったそうです。
自社の商品をいかに売るか、という経営者の悩みは今も昔も変わらないようです。  暑くて食欲が落ちかけている時期に、香ばしいウナギの蒲焼の香りは食欲増進にも寄与しますし、単なるキャンペーンだけではなく、人々のニーズに合致したものだったと思います。

 ウナギの漁獲量が減少し、値段が高くなっていく中で、この風物詩がひょっとしたら楽しめなくなるかもしれないと思うと寂しいところです。 我が家では毎年、近くのスーパーで1尾買って家族で等分して食べており、今年は何切れがあたるのか不明ですが、一切れ一切れを楽しみたいと思います

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