精神保健福祉士とは
精神保健福祉士とは、1997年に誕生した精神保健福祉領域のソーシャルワーカーの国家資格です。
近年になり、関係法の改正などにより、精神障害者が地域社会で暮らすための基盤整備が図られてきました。
精神保健福祉士は、精神科ソーシャルワーカー(PSW:Psychiatric Social Worker)という名称で
1950年代より精神科医療機関を中心に医療チームの一員として導入された専門職です。
社会福祉学を学問的基盤として、精神障害者の抱える生活問題や社会問題の解決のための援助や、
社会参加に向けての支援活動を通して、その人らしいライフスタイルの獲得を目標としています。
精神保健福祉士の仕事
◇生活支援機関◇
日常生活訓練をする事業所では、家事などの具体的な基本動作を一緒に行い、助言します。
就労前訓練や作業を行う目的の施設では、作業を通して社会参加することを支援します。
また就労前のトレーニングや、実際の就職活動に関する助言、職場への定着のための支援等を行います。
精神障害者も地域で生活する一人の人であり、その生活がより豊かなものとなるように
精神保健福祉士の立場で支援するという視点で活動をしています。
◇医療機関◇
医療機関で精神保健福祉士が担う業務は、治療を担うわけではありません。
医療と地域生活の橋渡しをし、常に権利擁護の視点を持つことで、精神障害者の生活を支援する立場で活動をします。
これらの活動に関連して、主治医、看護師、作業療法士や臨床心理士など、機関内の他職種とのチーム医療を展開します。
また、病院の外の他機関との連携による援助活動を展開することもあります。
◇福祉行政機関◇
行政機関では、法律に基づいた各種支援事業や手続きの実施を担うほか、
今後の地域における精神保健福祉の充実発展のために、現状分析や将来を見通した計画立案などに関与します。
また精神障害者の生活支援のために、関係機関のネットワークを作るコーディネートや就労支援事業、
地域移行支援活動、地域住民への普及啓発活動などの企画、実施とそのための調整などを担当します。
◇司法施設◇
社会復帰調整官や精神保健参与員などの多くは、その期待される機能から精神保健福祉士が活躍しています。
指定医療機関では、専従の精神保健福祉士がチーム医療の一員として社会復帰プログラムなどの業務を担います。
また、矯正施設においても精神保健福祉士の配置が徐々に進んでいます。
◇その他◇
教育現場のメンタルヘルスに関する相談援助を行うスクールソーシャルワーカーや、
職場でのストレスやうつ病対策、職場復帰のための支援などを行う企業内や外部支援機関の精神保健福祉士が活躍をしています。
また、ハローワークでも精神障害者雇用トータルサポーターとして、
精神保健福祉士が就労を希望する精神障害者の相談や企業の意識啓発などを行っています。